プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「それじゃ、ダメなんです」


学校の前にある田んぼ道。

HRの時間が近づき、しだいに人通りが少なくなっていくなか、坊主頭の後輩くんは拳を握り、きっぱりとそう言い切った。


「......なにがだよ?
センセーはよざいますっ!」


後輩くんにつっこみを入れながらも、遅刻した人を指導するために職員室から出てきた体育教師を見つけると、一番に挨拶をする敦士。

ついで、後輩くんとあたしも挨拶。


ATSUSHI、じゃなかった敦士はこんなチャラい見た目でも、こういうとこは意外としっかりしてる。


「銀月館にいったら、銀月館と甲子園で戦えません。
俺は甲子園で、銀月館みたいな強いとこと対戦したいんです。強豪校で甲子園目指すなんてレールのしかれた道歩いても、何もワクワクせんばい」


甲子園行って、甲子園で、銀月館と戦う......?


「はぁ?わくわくするとかそういう問題じゃねぇっつの。
まずうちが甲子園いくとか、ヒャクパー無理だかんな。
万が一、億が一、甲子園行けたとしても、銀月館とやり合ったって、ゼッテー勝てねーよ」


敦士の反応が普通。

普通に考えたら、甲子園で銀月館と戦いたいなんて、どう考えても頭わいてる発言。
現実見えてない頭オカシイヤツ。


だけど、少年漫画のような夢物語を、キラキラとしたまっすぐな目で語る彼は。

まるで、絶対にそうなると信じてるみたいだ。








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