絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
☆☆☆

その日、彩美から《今日はサボろう》というメールが送られてきたのは制服に着替えようとした時の事だった。


一瞬、どうしたんだろう?


という疑問が浮かんだが、それもすぐにどうでもよくなった。


今日は最後の日だ。


学校なんて行かなくてもいいんじゃないか?


そんな気持ちになってしまった。


袖を通しかけた制服を置いて、あたしはクローゼットから私服を取り出した。


学校鞄の代わりに小さなバッグに財布とスマホだけ入れて、『行ってきます』も言わずに家を出た。


まだ朝早いのに太陽がまぶしくて目を細める。


学校や会社に行く人たちの波に逆らい、歩いていく。


《mother》はこんなに沢山の人が暮らしている。


こんなに沢山の人が奴隷になる可能性を秘めて生きている。


自分のレッテルを気にしながら、生きている。


そう思うと、だんだん歩く歩調は速くなっていく。


沢山いるけど、ほんの少しじゃん。


大きな街だけど、こんなにも小さいじゃん。
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