絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
濃いグリーンのエプロンをつけた女性店員さんに案内されて、奥の2人席に座る。


こげ茶色のテーブルにはピンクと白の花が飾られている。


あたしと優也さんはそれぞれ飲み物を頼み、窓の外に見える《mother》を見た。


こうして座って建物を見て見ると、まるで見下ろされているような感覚になる。


《mother》は街のすべてを見下ろし、監視している。


まさにそんな感じだ。


「スマホを確認してたけど、返事が来てた?」


「1人だけ……」


「1人か……」


優也さんが渋い顔をする。


あたしはもう一度メッセージを作った。


今度は彩美に当てたメッセージだ。


それを優也さんに見せる事なく、送信した。


あと数時間ですべてが決まると思うと、自然と無口な時間が流れて言った。


今日のためにやるべきことはやった。


もう、これ以上なにもすることはない。


グラスの中に入っていた氷がカランッと音を立てて崩れた。
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