絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
口の中は甘味で満たされて少し粘っこく感じる。


あたしは水を1口飲んで口の中をリセットした。


その時、ふいに優也さんがあたしの手を握りしめて来た。


「俺は、朱里ちゃんの事を信じているから」


真剣な表情でそう言う優也さん。


あたしはそんな優也さんを見ても、もう何も思わなかった。


これが《奴隷部屋》を出た直後なら、嬉しくなって頑張ろうと言う気になれていたかもしれない。


「もう一度、みんなに連絡をとってみます」


「あぁ。頼むよ」


優也さんはそう言った。


メッセージが公恵からしか帰ってこないのが、不安なんだろう。


あたしがメッセージを作って送信している間、優也さんは外を歩く人たちを見ていた。


「誰か探しているんですか?」


「いいや……いや、そうかもしれない」


曖昧な返事にあたしは首を傾げる。
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