絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
眉を下げてそう言う彩美にあたしは目を見開いた。


「引越し……?」


「うん。誰にも伝えずに引越したって、昨日の連絡網で回って来た時には驚いたよ。


朱里も何も聞いてなかったんでしょ? 彼女にくらいなにか言って行けばいいのにね」


少し怒りを踏まえた口調でそう言う彩美に、あたしは唖然としていた。


昨日の連絡網?


そんなもの、あたしの家には回ってきていない。


「違う……」


あたしは思わずそう言っていた。


「え?」


「違う!」


グッと奥歯を噛みしめる。


「大丈夫? 朱里」


そんなあたしの肩を、優也さんが優しく掴んだ。


優也さんは笑顔だが、目が笑っていない事がわかった。


なにも言うな。


感情的になるな。


そう言われている気分になって、あたしは深呼吸を繰り返した。
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