絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
☆☆☆

公恵にチケットを手渡した後、案の定公恵の友人たちが興味をもったようで近づいてきた。


「なんでもないよ。動物園のチケットをもらっただけ」


数人の友人に囲まれながら公恵はそう言い、チケットをポケットにしまった。


動物園なんて信じるわけもなく、周囲の子たちはまだ公恵の様子を伺っている。


それを離れた場所から確認しながら、あたしは息を吐き出した。


あのチケットに興味を持った子は、きっとあたしに声をかけてくるだろう。


その中から奴隷候補を選び、チケットを渡すんだ。


「ねぇ、何を渡してきたの?」


彩美にそう声をかけられて、あたしは「動物園のチケットだよ」と、公恵と同じ嘘をついた。


「動物園?」


彩美はけげんそうな顔をする。


公恵と動物園が結びつかないのだろう。


あたしもそうだ。


公恵は動物を見て喜ぶタイプには見えない。


もう少しまともな嘘をつけばよかったのにと思う。


「隣街に大きな動物園が新しくできたらしいよ?」


「へぇ?」


彩美は首を傾げながらも頷いたのだった。
< 56 / 140 >

この作品をシェア

pagetop