絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
☆☆☆

そして、昼休み。


生徒たちがバラバラになるこの時間帯は、公恵のグループも一旦解散状態になる。


お弁当を広げる子、食堂に食べ行く子、購買でパンを買ってきて戻って来る子。


それぞれ別行動になる時がチャンスだと思っていた。


あたしは教室で彩美と一緒にお弁当を広げながら、その時を待っていた。


「朱里の今日のお弁当もおいしそう」


「そう? ウインナー食べる?」


「食べる食べる」


そんないつもの会話をしている最中、あたしたちの前に1人の女子生徒がやって来た。


「ねぇ、世田さん」


名前を呼ばれてそちらへ視線を向けると、公恵と同じグループの子が立っていた。


グループ内ではあまり目立たないタイプの子だったので、あたしは少し驚いた。


声をかけてくるのはもっと派手な子だと思っていたから。


「なに?」


あたしは何食わぬ顔でそう訊ねる。


「あのね……」


あの子が口を開いた瞬間、教室中に「なにすんのよ!」と言う公恵の大きな声が響き渡り会話は中断されてしまった。
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