絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
「俺たちを誘拐した時に荷物は別で保管していたんだろうな」


あたしは頷き、バッグを胸の前でギュッと抱きしめた。


翔吾と一緒に自殺しようとした時、あたしはこのバッグを持っていた。


あの丘の上で一緒に睡眠薬を大量に飲んで……。


思い出して、ジワリと涙が浮かんできた。


このバッグの中にはその時に書いておいた遺書が入っている。


「どうしたの?」


涙が浮かんでいる事に気が付いた優也さんが、驚いた顔であたしを覗き込む。


あたしはブンブンと左右に首を振った。


「な、なんでもないです!」


「でもすごく辛そうだよ」


「……彼氏の事を……思い出して……」


そう言うと、優也さんは眉を下げた。


なにか言おうとして口を開くが、優也さんは何も言わないまま口を閉じた。


しかし次の瞬間、あたしはその両腕に抱きしめられていたのだ。


「……辛いよな……」


耳も元で小さくそう言う。
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