絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
「なんだか今日は人が多いな」


優也さんもその事を気にしていたのだろう。


「ごめんなさい。今日に限ってこんなに混んでいるとは思ってなくて……」


「朱里ちゃんが謝ることじゃないだろ? 何か食べてから場所を移動すればいい」


優也さんが優しくそう言い、メニューを開いた。


その両面には大きく《6月9日限定! 桃のかき氷120円!!》と、書かれていたのだ。


あたしと優也さんはそのメニューをまじまじと見つめた。


「これか……」


優也さんがそう呟き、ふっと笑った。


「そうですね」


あたしはため息を吐き出す。


今日は暑いし、限定のかき氷に惹かれてみんなやってきたのだろう。


「じゃ、俺たちもこれを食べてから出ようか」


優也さんはそう言い、子供っぽく笑ったのだった。
< 63 / 140 >

この作品をシェア

pagetop