絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
「一学期、ここで集合写真を撮ったでしょ」


松田さんの言葉に、あたしは最近常に持ち歩いているクラス写真を思い出していた。


たしかに、あれは屋上で撮られたものだ。


「その時にこっそり鍵を持ち出して、合いカギを作ったの」


「なんでそんな事をするの?」


あたしの質問に、松田さんは前髪をかきあげた。


「クラス写真を撮った時からわかってたから。あたしがあのクラスに馴染めない事くらい」


そう言い、クスッと笑う。


それは学校生活を送る上ですごく辛い事のはずなのに、どうして笑えるんだろう。


あたしにはやっぱり松田さんの考えていることがわからなくて、灰色のコンクリートへ視線を落とした。


彼女を選んだのは間違いだったかもしれない。


別世界の人すぎて、完全に彼女のペースにはまってしまう。


「世田さんがあたしについてきた理由は、なんとなくわかってるけどね」


そう言われ、あたしはとまどった。


まさか奴隷候補について知っているというのだろうか?


だとしたら、いつどこでバレたんだろう?


公恵や清水君たちにチケットを渡した時だろうか?


あのチケットで気が付いたとすれば、松田さんは《奴隷部屋》の事を知っている事になる。
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