絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
松田さんは何の感情も持っていないような口調でツラツラの身の上話を進める。


しかしその話は噂話とはあまりにかけ離れていて、あたしには想像もできないような世界だった。


「中学を卒業してから頑張ってお金を作ってたから、実年齢はみんなより1つ上なんだ」


そう言われ、あたしは目を見開いた。


そうだったのか。


やけに大人びていると思っていたけれど、彼女はあたしたちよりも年上だったんだ。


それに加えて男に抱かれる生活を繰り替えしていたため、妖艶さが増しているのかもしれない。


普段ならそんな彼女を少し羨ましいと感じたりしていたけれど、事情を知るとその妖艶さが急に切ないものへと変化していた。


胸のあたりが締め付けられているような感じがする。


あたしは松田さんの事を何も知らなかったみたいだ。


でも、これで1つだけわかった事がある。


彼女は奴隷候補なんかじゃないと言う事だ。


これからちゃんと高校を卒業して、就職して、幸せを掴んでほしい。


心からそう願う。


「……あたし、もう行くね」


松田さんに用事のなくなったあたしはきびすを返して歩き出した。


そしてドアに手を伸ばした時……呼び止められた。
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