絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
予備のチケット
屋上のドアを後ろ手に閉めた瞬間、あたしは大きく息を吐き出した。


松田さんと会話している間ずっと呼吸を止めていたように、ひどく息苦しい。


息を吐ききった瞬間、ボロボロと涙がこぼれてきた。


声を出して泣きそうになるのをグッと我慢して、一番近い女子トイレへと駆け込んだ。


個室で鍵をかけ、自分の指を噛んで嗚咽を殺す。


松田さんの、チケットを受け取った瞬間の嬉しそうな顔を思い出す。


あたしは最低だ……!!


松田さんは必ず当日現れるだろう。


あたしの言葉を疑う事もなく、クラスメートたちと一緒にイベントに行けると信じて。


「……っ!」


あまりに強く噛み過ぎたせいで、人差し指の第一関節から血が流れた。


鉄の味がジワリと広がり、脱出の際に死んでいったみんなの顔を思い出した。


途端に吐き気が込み上げてきて、あたしはそのまま便器に嘔吐した。


あたしは一体なにをしているんだろう。


友達を騙し、チケットを渡して、そんな事に必死になって……。


自分が死ねばよかったんじゃないか?


翔吾と2人になったあの部屋で死ぬのは、やっぱりあたしだったんじゃないか?



そんな気さえしてくる。
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