絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
こうして彩美に課題を写させてもらう事を、何度経験してきただろう。


勉強もできなくて忘れ物ばかりのあたしを、彩美はいつでも助けてくれていた。


あたしは彩美のノートを書き写しながら、胸の奥が締め付けられるような感覚だった。


彩美の丸っこくて可愛い文字に何度助けられてきたんだろう。


これから先もずっと彩美と一緒に高校生活を楽しんでいきたい。


恋愛相談とか、勉強の相談とか、2人でショッピングなんかも。


いっぱいいっぱいやりたいことが溢れている。


「ねぇ、彩美……」


ノートを書き写しながらあたしはそう言った。


「なに?」


「もしあたしが、翔吾みたいに突然いなくなったらどうする?」


「え……?」


彩美が目を見開いてあたしを見る。


「突然何を言いだすの?」


「真面目に答えて」


あたしはシャーペンを置いて彩美をまっすぐに見つめた。


その視線に彩美はとまどったように空中へと視線をそらせた。
< 94 / 140 >

この作品をシェア

pagetop