絶叫脱出ゲーム～奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ～②

「……考えるだけでも、悲しいよ」


あたしの元へ視線が戻ってきた時、彩美は小さな声でそう言った。


その表情は暗く沈んでいて、あたしがいなくなった時の事をちゃんと想像してくれたのだと言うことが分かった。


「彩美……あたしは彩美のそばからいなくなりたくない」


あたしはそう言い、カバンから最後のチケットを取り出した。


「そのチケット……」


あたしは彩美の言葉に小さく頷く。


「このチケットを正体は、イベントなんかじゃないの」


「え？」


彩美が眉を寄せてあたしを見る。


今まで楽しいイベントだと言ってみんなに配っていたのだから、当然だ。


彩美には……彩美にだけは、本当の事を言って渡そうと思ったんだ。


イベントだと言えば彩美は必ず13日に《mother》へ来るだろう。


でも、奴隷になるチケットだと言えば、気持ち悪がってこないかもしれない。


来なくていい。


そんな思いであたしはチケットを彩美に渡した。


「実はあたしね、下位レッテル者なの」