雨が降ったら
ミウと出会ったのは、2年前の13歳の時。
病院の屋上でだった。
お母さんは大学病院で看護師をしていて、家が近かったから、放課後は病院へ迎えに行くのが日課だった。
この日は雨が降っていて、この前買ってもらったオレンジのビニール傘を使えてウキウキしていた。
色がついているのに透けているから空が見えて、取っ手の先に星のキーホルダーがついているのがお気に入り。
いつもの待ち合わせ場所にお母さんがいなくて、4階のナースステーションへ行くと、お母さんがいた。
「あっ、ユメ。ごめんね?もう少しお仕事かかりそうなのよ。ちょっと待っててもらっていい?」
「うん。大丈夫だよ。」
そう言うと、お母さんは忙しそうに中へ戻っていった。
キョロキョロとまわりを見ると、マイクスタンドのような大きすぎる点滴台を持った子や、帽子をかぶった子、ギプスをはめた小さな子がいた。
…お母さんの担当は、小児科だった。
ふと思いついて、エレベーターの上の矢印を押す。
そこはとてもしんとしていて、
雨の音が響いていた。
少し重いどあをあけると。
…そこに、いたんだ。
この病院の屋上は、公園にあるような屋根が立っている部分があって、そこにベンチがあった。
長い黒髪を無造作にたらして、淡い水色の傘を持って。
ドアの音に気付いたのか、その子が振り向いた。
大きなくりくりした目、白すぎる肌に、細く長い手足。
白いワンピースに、グレーのカーディガンを羽織っていて、それがとても似合っていて可愛かった。
「……同じ傘だね。」
ニコッと笑った顔がとても綺麗だったことを覚えてる。
病院の屋上でだった。
お母さんは大学病院で看護師をしていて、家が近かったから、放課後は病院へ迎えに行くのが日課だった。
この日は雨が降っていて、この前買ってもらったオレンジのビニール傘を使えてウキウキしていた。
色がついているのに透けているから空が見えて、取っ手の先に星のキーホルダーがついているのがお気に入り。
いつもの待ち合わせ場所にお母さんがいなくて、4階のナースステーションへ行くと、お母さんがいた。
「あっ、ユメ。ごめんね?もう少しお仕事かかりそうなのよ。ちょっと待っててもらっていい?」
「うん。大丈夫だよ。」
そう言うと、お母さんは忙しそうに中へ戻っていった。
キョロキョロとまわりを見ると、マイクスタンドのような大きすぎる点滴台を持った子や、帽子をかぶった子、ギプスをはめた小さな子がいた。
…お母さんの担当は、小児科だった。
ふと思いついて、エレベーターの上の矢印を押す。
そこはとてもしんとしていて、
雨の音が響いていた。
少し重いどあをあけると。
…そこに、いたんだ。
この病院の屋上は、公園にあるような屋根が立っている部分があって、そこにベンチがあった。
長い黒髪を無造作にたらして、淡い水色の傘を持って。
ドアの音に気付いたのか、その子が振り向いた。
大きなくりくりした目、白すぎる肌に、細く長い手足。
白いワンピースに、グレーのカーディガンを羽織っていて、それがとても似合っていて可愛かった。
「……同じ傘だね。」
ニコッと笑った顔がとても綺麗だったことを覚えてる。