距離感
そうこうしているうちに雨は上がる。


僕は心の中で気まぐれな天候に悪態をついた。


(もっと降っててくれていいのに、クソッ!)


「あ……止んじゃった……か」


「え……止んじゃったか?」


「ううん、いいの。気にしないで」


彼女はそう言うと、雨上がりの学校への道を走っていった。


僕は彼女を追いかけながら、
彼女がハサミを出すときに見た、トートバッグの底の折り畳み傘のことを考えていた。
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