シュールな関係
電話が石の様に重々しい・・・
両手で持ち上げるように受話器を取り耳に当てる
「お疲れ様です 神崎です」
少し上擦ったわたしの声
「何で連絡したかわかるな?」
「は…はい」
受話器から響く重く低い声・・・
王子 今日は声が笑ってませんね
うわ~っ 早く切りたい!!
「お前の仕事なのに森本にこの書類を持ってこさせたな。
公私混同しやがって
弟への伝言は聞かなかったか?」
まさに公私混同している。
スミマセン。
「聞きました…が…」
「なら 俺を避けてるってことだよな?
へぇ~~
秘書課に上がると偉そうになったものだなぁ」
「い、いえそんなことは!」
「反抗するとはいい根性じゃないか!
それに今すぐ電話を
切りたいとか思ってるだろ?
お前の読みは見え見えなんだよ
逃げまくりやがってっ!」
はい・・・おっしゃる通り即切りたいです・・・
考えも読まれてなおさら怖い!
「お望みの通り直ぐに切ってやる、」
あ~~~っ 良かった
「昼メシ行くから12時にロビーで待っとけ」
「えっ?
お弁当ありますので結構です
晴人がサンドイッチ作ってくれて…」
「なんか言ったか? 聞こえねぇ
サンドイッチは夜に食いたいっていったのか?
俺の誘いを断るわけないよな? 奈緒!」
声が…声がご立腹だわ!!!!
断れないわっ
どうしよう・・・・!!!
「あのぉ ・・・
留美も誘っていいですか?
彼女…一之瀬さんの大ファンで―――」
ダメもとで小声になりながら聞いてみる。