シュールな関係


結局 午前中の仕事は集中も出来ず

コピーミスにお得先への間違い電話

書類の打ち間違いに先輩に怒られ散々だった訳で…



とうとう迎えた昼休み



一秒たりとも遅れないように12時前に1階に下りると

エントランス近くの壁にもたれ煙草を吸う一之瀬さんがいる。




『あらっ 一之瀬さんって煙草吸うのね 

初めて見かけるわ』



『彼が吸うと絵になるわぁ~

ファンクラブの皆に送信…っと』


『いつみても秀麗だわ…

今日は雰囲気が違うけどストイックなのも素敵ぃ」


ランチに出かける女子社員から黄色いやら甲高い声が聞こえる。



一之瀬さんが煙草を吸っている・・・



た…煙草を吸ってるって!?





普段吸わないこの人が吸うのは酷く機嫌が悪い時だ。




このレアなシーンを

知っているわたしはゾクリ身震いが出る。



言うまでもなく原因はあたし。





ただでさえ思い足取りが彼を見てよけいに遅くなる。


後ろに巻き付けられタイヤに重りを追加されたかのように…






ギロッ

比の打ち所のない整った顔

笑みのないストイックな威力のある目と

小動物の様に狼狽えるあたしと視線が交わる



わっ~! 押しつぶされるぅっ・・



「神崎 遅いぞ

俺を、どれだれ待たせてる」


ひぃ~~っ ま、まだ4分前ですよっ!!



「すっ、すみません」


「ついて来い」


怖い・・・ 超怖い・・・



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