シュールな関係
責任と義務
会社のほかに週末は
会員制の日本料理店『鈴蘭』で働いて
返済にあとどれくらいかかるかすら分からない。
「一之瀬さんから見たら
微々たる額かもしれないけど
そんな拍子抜けた顔なんてしないでもらえます?
こっちは死活問題なんです!」
「なら問題ないな」
今の一之瀬さんの表情からは
何が問題ないのか?
意味も気持ちもさっぱり意思が通じてこない。
「お前の父が消えたのって高校の時だろう?
未成年なら親の相続放棄したら
返済義務がないってことくらい知ってるよな?」
食べる手を止めて真面目な顔で話し始めた。
「もちろん知ってます」
「じゃ何故払ってるんだ?
もしかして子供だから親の借金
の返済する義務があるとか甘い考えでいてるのか?」
「・・・・・・・」
「黙ってないで何か言えよ」
「・・・してたんです」
「なんて?」
「複数のお年寄りから・・・
年金の大切なお金や財産を
騙し取っていたんです
わたし達が知らないとはいえ
そのお金を使って生活してました
それなのに父が消えたからって
法的処置だけで終わるなんて出来ません!!」
「気持ちは分かるけど
2500万返せるのか?」