シュールな関係
「あなたってかなりお喋りね」
ウザい目つきで見返すと
「可愛い子や興味持った子は特に!
奈緒ちゃんは可愛いタイプだよね」
しゃあしゃあとして全く気にもしていない
初めて会った時の大和と同様にわたしを楽しみ、
撫でるような声で『奈緒ちゃん』と馴れ馴れしく呼ぶ男
見た目は誠実そうで清々しいのに
喋ると軽い感じや雰囲気は大和似ている。
大和は生意気だけどグレードの高い容姿に物怖じしないタイプ
一磨は爽やかで整った顔、トーク上手で切れ者そうなタイプ
『類は友を呼ぶ』
種類は違うが似た者同士だわ
昔の人は良い言葉を作るものね…と一人で感心するわたし。
「あの時は迷惑かけたわね
でも、もう二度とあなた達と関わる事ないからご安心を!
では失礼。」
口だけ笑みを浮かべ、涼しげに言い払う。
これ以上、接点のない男と話すべきはなし
飲みかけのグラスを置いて立ち去ろうとすると
一磨が軽く腰をあげ、わたしの腕を掴んだ。
「そんなに僕のこと毛嫌いしなくてもいいでしょ?
せっかくマスターが出してくれたのに飲まないと失礼だよ」
そう言って力強くわたしを座らせ
手を握るように飲みかけのカシスソーダ―のグラスを手渡し
スマートに隣の席に移動する。