シュールな関係
だが奈緒が相手だと不思議にもイライラしねぇ。
金を要求してこようがアイツは俺の顔色を窺って
媚うってこない。
そんな女じゃねぇからなのか?
ただ珍しいからなのか?
それとも俺が奈緒に興味を持ち始めているからなのか?
どちらかと言えば俺の方が一緒に飲んでて
もっと話してみてぇ
もっと奈緒を知りてぇって心を躍らされて楽しんでいた感覚はある。
俺は今、大学の講義室で論文を仕上げている最中だか
あいつの事を考えると全く手につかねぇ。
女に振り回されてるとは実感していなかったが
考えるとそうなのかもしれねぇ。
構内で奈緒と格好を似てる子がいる反応してしまうし、
知らず知らずのうちにあいつの事ばかり考えているからだ。
だからここ最近は授業も、すんなり終えるレポートもうわの空だ。
講義室から見える景色は11月なのに不自然なくらい
空が澄み切っていて、気持ち良すぎてムカつく。
「おい 大和
こんなとこにいたのか。
なにボケ~としてんの?
もしかしてどこぞこかの女のことでも考えてたのか?」
ニヤリと口角を上向きにした一磨が声を掛けてきた。