シュールな関係
とにかく落ち着いて奈緒 

ニッコリ、ニッコリ、そつなく接客をこなすのよ。



「一之瀬様 

お飲み物はいかがされますか?」


「料理に合う辛口の日本酒を用意してくれないか?」

目の前の御品書きを見ながら会長がワインも付け加える。



「かしこまりました 

直ぐにご用意いたします」







「おい 奈緒、奈緒?」
 

気まずい・・・
 

淡々とする他人行儀過ぎる接客に一之瀬さんが

不機嫌な顔付きになっている。



この様子じゃ何も知らされてないようね。



はぁ・・・

胃がキリキリしてくるよ




接客程度の会話ならいいよね?



「雅也さん

今日はどうしてこちらに?

いきなりで驚きました」



「父に奈緒の店行こうって誘われて。


前にも会おうって話してただろ」


そうなの、既にお会いして話はついてるの。



後は一之瀬さん


あなたが真実を知るだけなのよ。



ヤダな 怒るかなぁ

また般若が出るのかなぁ~


それとも先に腹黒親父が先に動くのかな~?


どっちにしろ私には四面楚歌である。




「本日の特選メニューは

アワビの酢和え 
蟹と海鮮の和え物
地どりのサラダ

松茸・蓮根の練り物のお吸い物

刺身

焼き魚

季節の煮物野菜

お口直しに梅の一口素麺

豆乳のうにピューレ

特選牛と松茸のひとり鍋

アサリと生姜のご飯
湯葉の吸い物・お漬物

フルーツ盛り合わせとゼリーです」

< 202 / 441 >

この作品をシェア

pagetop