シュールな関係
エレベーターの下ボタンを連打するものの

こういう時に限ってエレベーターは来ない。



「マスターからお金受け取って貰えたならこれ以上話はないの



多恵さんとの顔合わせも無事に済んだことだし

わたしのお役目終了なのよ。」




// チーン //



開くと同時に大和がわたしの腕を強く引き一緒にエレベーターに乗りこんだ。



「離してよ!」


「逃げるなって言ってるだろっ

俺を避けるな!



奈緒、俺に何か言いたいことがあるんじゃねぇのか?」


気持ちを読まれるかのように、綺麗な瞳で顔を覗き込んでくる



「裏切り者と話すことはないの!」


その瞳から逃げるように背ける


「ちょっと待てよ 俺は裏切ったつもりはなく

あれは一磨が勝手にしたことで

俺の気持ちは――――」



「一磨とかどっちでもいい

わたしには終わったことなの! 


もうほっといてもらえる!?」



「残念ながらそれは無理



「これって『運命の再会』だろ?」



腰に掛けた手を強く引き寄せ

反論する魔もなく噛みつくようなキスで唇が塞がれる




「んっ な…ぁ…何するのよっ!!」



「もう少し色っぽくっていうか素直にキス出来ないか?」



離しなさいよ!!と言いたくても言葉を飲み込まれ息すら上手くできない


「俺から逃げれると思うなよ」

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