シュールな関係
「姉ちゃんのことは信じてるよ
椎名社長の息子かぁ~
一之瀬さん ライバル現れる、だな」
「ライバル?
朝からなに意味不明なこと言ってるの?」
「とにかく、
社長の息子が姉ちゃんに説明したいって言ってるんだろ?
それじゃ話きいてあげて、姉ちゃんも今日はゆっくり飲んでくれば?」
「晴人ってほんと世間知らずっていうか、心広いわね
そんな相手は適当にあしらって早く帰るに決まってるじゃないの」
もう絶対に流されない、と心に誓うけどなんだか落ち着かない。
「その格好でいくつもり?
服全然ダメ 女子力なさすぎじゃないか!」
身支度するわたしの服を大きくダメ押し、部屋から
セーターとジャケットに合う赤のマフラーを出し
こっちの方がいいよ、とショートパンツを選ぶ晴人。
『ハイブーツに合わせたら脚長効果になるし、バッグは…』
センス良く選ぶ弟の女子力の高さに驚くわたし
「あっ いそがなくっちゃ
晴人 行ってきます!」
お弁当を貰い、急いで外にかけだすとヒヤリとした空気が肌を擦る。
12月に入ると朝晩の冷え込みが激しくなり
木の葉が木枯らしに吹かれ空を舞っている。
大きく息を吸い手を大空に上げ「負けるものか!」と気合を入れ
足早に会社に向かった。