シュールな関係
「よおっ 奈緒」
7時過ぎ店に入るとカウンターの一番奥で
大和が座りながらわたしに手を振り声を掛ける。
「こんばんは」
少し気まずい顔で挨拶をするわたしに
「よく来てくださいました」とマスターのバリトン声が優しく返してくれる
ここで一磨に平手打ちの一波乱を起して去っただけに
何もなかったような対応には本当に救われる
今日はちゃんと横に座れよここ、と真横のスチールを指名され座らす大和は相変わらず強引だ。
「おっ 今日はまた雰囲気が違って可愛いじゃん
もう一度「運命の再会」のキスする?」
「いつまで寝ぼけたコト言ってるのよ、する訳ないでしょう?」
馬鹿ね、と大和の言葉を無視をし、さり気なく肩を抱いてくる手も叩くように払いのける
「相変わらずつれねぇな
俺先に吞んでるけど―――お前は何する?」
そう声を掛けてる大和は『何杯飲んでるの?』ってくらいご機嫌
「じぁ ジンジャエール」
真面目な話になりそうだし流されないためにも、一応ソフトドリンクで。
「はぁ ジュースって何言ってんだぁ?
お前、ガキかよ
もしかして今日の俺の話に気を使ってるのか?
そんな柄じゃねーだろが
じゃ さっさと話すけど飲んだ方が奈緒も
俺も本音話せて楽だろ?
マスター俺と同じのこいつに入れて」
カラン、と目の前に置かれたのはワイルドターキ―12年
「いやいやそれは無理!飲み比べじゃないし!」と大和に渡し、カクテルにしてもらう。