シュールな関係
俺は軽く微笑みながら

「河野さん 煙草吸っていい?


さすがにみんなに見られてると俺も緊張するだろ?」


ソファーにもたりかかりながらポケットから取り出した火を付ける。


普段は吸わないが、機嫌が悪い時に俺は煙草を吸う。


今、正にそうだ。


それに今は横にいる河野の甘ったるい匂いが鼻につき、気分が悪い。


悪臭を消し去るように肺まで深く吸い込み

煙を小さく吐き出しながら横目で周りの様子を伺う。



そして河野の目を向かい合うように見つめ

「俺のファンクラブがあるって聞いてるけど本当?」


既に知っていることを尋ねる。



「ええ、恥ずかしながら私が会長をしてます


入社した3年前に一之瀬さんを一目見て 

もう…素敵なので直ぐにファンになりました」

ポッとしながら河野が嬉しそうに話し出す。



「ファンクラブってよく分からないけど、どんな事してるんだ?」



「大したことしてないですよ でも会員は凄く多いですよ!

ただ…とこで見かけたとか、ランチ何を食べたとか・・・ 

仲間同志でちょっぴり連絡を取り合いながら幸せを共有してるんです」

幸せを共有? ふざけた野郎だ。

言い方をかえれば集団で付け狙われてる訳だろが?


< 271 / 441 >

この作品をシェア

pagetop