シュールな関係
「森山、すまないな
余裕で10分超えてるな」
河野が泣き崩れ、異様な雰囲気にも関わらず
俺は何も無かったかのように森山に話すと仲間の席に戻る。
「お前何してんだよ、河野さん号泣してただろ?」
「セクハラでもしたのかよ?」
周りからは河野が震えて激しく泣いていることに対して俺に色々と言って来る。
「河野には願い事言って、雑談してしたら勝手にああなった
俺にとって有意義な会話をしただけたが、急に体調が悪くなったんじゃないのか?」
それだけ答えあとは無視し、ワインからバーボンに換えて飲みなおす。
結局、あの場では『神崎さんは知らない』と泣き崩れて会話にはならなかった。
ほとんど喰ってないから、喉を焼くかのようにアルコールが身体に浸みこんでいく。
楽しくとは程遠く、今は味も感じず憂鬱を晴らすようなひどい飲み方だ。
騒がしいと思えば、入口で河野は数人の女と帰る支度をしていた。
3人いる女すべての顔つきや態度が俺を狼狽えているように見えたのは
おそらく共犯者だからだろう。
この件で、河野らはどう出るかが見ものだな。
もしまだ何か騒ぎ立てるのなら
俺もそれなりにキッチリしてやるからな、と冷めた目で一瞥して飲む。