シュールな関係

「一之瀬さん

海外事業部に移動になったら出世コースすね~!!



俺も引き抜いて下さいよ寂しい~ 

遠くに行かないで下さい 離れたくねぇ~」


さらに酔った佐藤が絡みついてきて離れなくなり

俺はまた封じるように佐藤に酒を飲ませた。


そのおかげで今はソファでウタウタしている。


「一之瀬、一緒に仕事が出来るな」


同期の井坂が俺に酒を注ぎながら

新部署の話をしてきた。


「お前も海外事業部だよな、宜しくな」

「今、マレーシアにホテル建設の話が出てるだろ?

そうなればお前も加わるのか?」


「ああ おそらくな」


「そうなれば暫く向こうで暮らすようになるからな

俺と向こうで弾けような?」


わははっと豪快に笑いながら酒を注いでくる。


コイツは大酒飲みで、同じペースで飲むと俺もヤラレてしまう。


時計を見ると9時をとっくに過ぎている。


いつの間にか外では降り出しザーと大粒の雨が窓を叩いている。


「そう言えば、お前のお気に入りの神崎、来てないな?

めずらしいよな いつも一之瀬の横につかされてるのに。

彼女って、素朴な感じて可愛いよなぁ~

お気に入りなんだろ?

お前と付き合ってるって噂出て来てるけど真相はどうなんだ?」


「想像にお任せするよ」

俺はまた奈緒がいないことにイラつきを膨らせ酒を飲んだ。



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