シュールな関係

「う―――ん 

あれ、い、…のせ…さ…ん?」


奈緒がエレベータの中で薄らと目を開けたが

ろれつが回らず上手くしゃべれてない。

 

「 低体温症は体温が35度以下になると

体の震え、頭痛・吐き気・歩行困難が出ます


まさに今、神崎様はその症状が出ております


着替えとブランケットを直ぐに車を用意致します」


「だ・・いじょ・・ぶ…」

起き起こそうとするが身体はついてかない。


「馬鹿か!! 無理するな

言葉もおぼつかねーだろ!!

寒いよな、辛かっただろ ごめんな

直ぐに温めてやるからな」


俺は必死に奈緒の身体を抱きながら温めるようにさする。

すると、奈緒は眠るように目をとじる。


「神崎様をお任せしてもよろしいですよね」



「ああ、車を直ぐ頼む」

「いいえ

そういう訳にはまいりません


先に濡れた服を脱がさないと。


尚也様 低体温症を軽く見られては困ます」


「甘くは見てねぇよ」


が――――、参ったな

俺が脱が全部脱がせて着替えさえろ…て事だよな?


「何か問題でもおありですか?

お二人は婚約者ですよね

なんでしたら私が直ぐに神崎様の着替えをさせて頂きますが・・・」


「お前には頼まないよ

俺が車で着替えをさせるからブランケットと着替えを直ぐに

用意させろ」

俺が奈緒の着替えをさせたと知ったら

目くじらを立てて怒る姿が想像できる。


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