シュールな関係

「かしこまりました

手当はどちらでいたしましょうか?


お二人を…ご実家に、それともマンション 

どちらにお連れいたしましょうか?」


奈緒の濡れた身体をタオルでくるむと

意識が朦朧としている奈緒を車に乗せ

濡れた制服を脱がせタオルでふき取る。


「マンションの方が近いから運んでくれ」


「奈緒様の身体がかなり冷えておられます

血の気のないお顔をされてますね


今夜はご一緒に寝られたらどうですか?」


運転席から話しかけられる声は控えめに楽しんで聞こえる

「お前こんな時に、笑ってないか?


いや その目の奥、どうしても笑ってるよな?

楽しんで言ってねぇか?」


短い付き合いじゃねぇから無表情な山本が

今、まさに興味本位で俺を見ているのが分かる。



「失礼いたしました 

いえ あまりにも雅也さまが真剣なのでつい…」


「ついって…一体何だよ?」


「さすがにフィアンセとなればいつもと様子が違われたので。

申し訳ありません」


ちくしょ

山本め 絶対楽しんでやがる



「そうそう、

人工呼吸で暖かい空気を身体に吹き込むのも有効ですよ

覗き見などいたしませんので、気にせずどうぞ。」


その助言…

今すぐしろって言ってるのか?


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