シュールな関係
「うるせーな 口出しをしてくるな!!
適当にするから黙ってろっ」
「いいえ、そういう訳にはいきません
私は医者でもありますから。
先程から何回も言っておりますが。
低体温症を軽く見られては困ます
奈緒さまが肺炎にでもなられたら どうするおつもりですか?」
山本は医師免許を持っている
有能な彼には助かるが、今の俺には…動揺しているのか
余裕すらなく、いつものように上手くかわせない。
「とにかくマンションで直ぐに点滴や処置をしてくれ」
「はい 既に連絡して必要なものを準備させております。
ご家族の方のご連絡はいかがいたしましょうか?」
そうだ。俺には晴人にキッチリと話す義務と責任がある。
責任を持って伝えないといけない。
「それは俺がしておく」
「では よろしくお願いします」
晴人には心配かけるな…
本当に申し訳なく思う。
閉じ込めたのはあの女たちだろう…
もっと吊し上げてたら吐いてたのではないかと、苛立ちと共に後悔が募る。
奈緒との今後の事もいつまでも茶化してないでちゃんと考えないといけない。
もし俺が真剣だと言えば、奈緒はどう答えるだろう。
俺に付いて来てくれるだろうか?
それとも今すぐに自由にしてやると言えば
俺に目もくれず,飛んでいくのだろうか?
俺は山本に聞こえないよう胸の内に潜む溜息を漏らし
眠る奈緒の顔を見つめた。