シュールな関係

後編




「雅也君 


瑠璃との見合いを断るとは一体どういうつもりだ

御両親とも話されたのかね?


君一人で判断できる立場ではないのは解かってるのか?」


「藤堂様にも、瑠璃にも

わたしの一存で申し訳ありませんが

特別な意味ではお付き合いも出来ません」



「バカ者! ワシは絶対に認めらんかなら

そんなことを瑠璃が知ったらどんなに悲しむか!」



広間の中央

シャンデリアが光り輝く雰囲気の中

華やかな会話が飛び交う会場とは対照的に

藤堂財閥の藤堂博文が

殺気がかった興奮気味の表情で顔を酷く強張らせた


重圧のムードが漂うその場は誰一人酔っても来ない。



俺の話を黙って聞く手に持つ洋酒が怒りで震え

それをゴクゴクと一気に飲み干しす。




角ばった顔 

小太りの大柄な体

オールバックの白髪交じりの髪


笑顔が似合わない見るからに腹黒い男


かなり汚い事をしながらのし上がってきた





「見合いどころか

結婚前提の付き合いをさせるつもりだ!


君の母上にはもう既に

話は通っているはずだか?




それに…瑠璃が雅也君の事を

昔から好きでいたのは知っていただろう?


今日も会うのをどんなに楽しみにしていたか


娘の気持ちを分かるのか?

薄情なやつめ」


鬼気を含んだ目の奥は冷たく、

よほど腹立たしいのか太い声にはドスが入る。



「彼女は可愛て魅力的ですが

恋愛にはほど遠く妹にしか映りません

中途半端に期待されるのは彼女にとっても良くありませんし

もとから私も認めてませんので、

きっちり白紙にさせて頂きます。」


< 326 / 441 >

この作品をシェア

pagetop