シュールな関係
「何を言われても考えを
変えるつもりはありません」
威圧的な態度で俺を抑えよと
しているがーーーー
このま流されるつもりはない
「雅也君
会場内に…瑠璃が来ているら
相手をしてやってくれないか?
朝から君に会うためにドレス選びから靴まで偉いはしゃぎ様でな
娘には余計な心配をかけたくない
あの笑顔をわしから奪わんでくれ」
藤堂財閥のワンマン社長と
一人娘を想う父親の
二つの顔をチラつかせ
長くゆっくりと瞬きをしながら威圧的に俺を見る。
厳格な姿勢で…俺を目にする。
堂々たる風格を…俺に見せつける。
俺を後継者にようにしようと…
俺を強く視界に入れる。
俺たちのいる少し後ろに
藤堂の秘書と山本が並んでいる。
俺の言動にヒヤヒヤとしながら
藤堂の顔色を伺う秘書が
白いハンカチで何度も自分の額の汗を拭っている。
見るからに肝っ玉が小さそうな奴だ
山本は会話が聞こえていても
動じることも、こちらを見ることもなく
冷静に立っている。
俺の事を気にしながら同時進行で
奈緒と大和も遠くから監視する
見比べるもなく俺の秘書の方が断然有能だな…
冷静にそう思う。
「では この話はこれまでにさせて頂いて
瑠璃に挨拶をしてきます。
向こうにフィアンセを待たせておりますので」