シュールな関係
甘いマスクに華々しい容姿から覗かせる漆黒の瞳には

わたしが映っている。

芸能ネタには疎い私でも知るトレンディ俳優で

彼の出る映画やドラマはヒット連発で留美から

「抱かれたい俳優の一位は日浦健二ですよ」と聞かされたのも

記憶に新しい。


その彼がわたしを支えてくれている。


「足…痛いんだよね?」



「すっ…すみません!!



本当にありがとうございました

お、おかげで助かりました」



恥ずかしい!

それに、いつまで彼に抱き付いてるんだわたし。


急いで離れる


もうこの場から消え去りたい。


「じゃぁ…助けたお礼に



僕と一杯付き合ってもらえるかな?」



あぁ~…

その…微笑みキレイすぎる

ドラマのワンシーンを見ているかのようだ。


社交辞令とはいえ微笑む顔が素敵だけど


「でも…」


飲んでいいのか、どうするべき?


ここで断ったら、失礼にあたるのかしら?





大和と一緒だし




あら…大和…? 

誰か女の人と喋ってる?


光の会のメンバ―だろうか…

可愛らしい同年代らしき子が大和を取り囲んでいる。



こんな時に役立たず何だからっ

山本さ~んっ!!

助けの目を求め――探すが……





えぇっ~~~ どこ行ったの!?


さっきまで見守ってくれていた

山本さんの姿は会場には見当たらない。



落ち着いてわたし…




山本さんは…パーティの極意で

話かけられたらーーー…



何て言ってったかしら・・・?





え~っと確か


失礼のないようにニッコリ…微笑んで…

相手の話を聞き

否定せず…って言ってたわね?
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