シュールな関係
落とし穴
わたしは山本さんを探しに行こうと

ワインを片手に振り返り早足で歩き出す。





‘’ドンッ‘’


激しく…誰かがぶつかってきた



「///きゃっ!


何なさるのっ  あなた!!


わ、わたくしのドレスがっ!」



悲鳴に近い声が甲高く響いた。


彼女のドレスに・・・

わたしのドレスが・・・


赤ワインが無残に飛び散り

ドレスに濃い紫の染みがじわじわと大きく広がってゆく




「ご… ごめんな…さい!! 

直ぐに拭かないと

シミが取れなくなっちゃわよねっ」





「おまえっ 

今、ワザとコイツにブツかっただろ!?」


近くにいた大和が寄って来る



「そんな訳…ございませんわ 


こちらのお方が勢いよく

ぶつかってこられて――――



わたくしのドレスが濡れたのよ」



「大和! 

そんなに怖い目で睨まないで!!」


彼女に疑いを持って睨めつける瞳はすざましい迫力もあり

大和のいかりまじり声におびえる彼女は

今にも泣き出しそうな涙目になっている。


ここで水掛け論をしてるより早くシミを取らないと

跡がのこってしまう。
 

「大丈夫だから…。

お化粧室に行って

彼女とわたしのドレスの染みを

拭いてくるから…ゴメンちょっと席を外すね」



とにかく、わたしのワインが

彼女にかかった訳だし…

今はどっちが悪いにしろ


早くシミ抜きをしなくっちゃ…



酷くシミの付いたわたしのドレスもーーー。


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