シュールな関係
連れて行かれたのは大きな窓が目につく広いスイートルーム
眼下に広かる色めくパノラマビューの夜景を楽しむ暇もなく
エレガントな高級家具でそろえられたリビングルームの一角で
わたしは彼女のシミ取りをしている
「どうかな?
もうほとんど分からないと思うけど?」
「何をおっしゃってるの、最悪ですわ
まだシミが取れないじゃないの!!
どうしてくださるの?」
ジェットバスから上がってバスローブ姿の彼女は
大和の前では狼狽えてた同一人物とは思えないくらい
ガラリと変わり
激しい口調で攻め立ててくる。
彼女が着ていたのはレースが広がる深いネイビーのドレス
ワインの色も濃いが、ドレスの色も負けてはいない。
しみ抜きで濡れているから濃く見えるかもしれないが
ほとんど分からない状態だと思う。
「なに自分の取ろうとしておられるの?
わたくしのが済んでないでしょ?」
ワザとぶつかられたにしろ
わたしのクラスから飛び散ったのだから
仕方がないのだろうか?
だけど山本さんが用意してくれたわたしの淡い
淡いパープルのドレスは
濃いワインの色でまばらに染められ
彼女のドレスと比にならないくらい酷く見立つ。