シュールな関係
しらない間に熱いものが頬を滑っている。

自分の自慢の髪を切りながら

いつの間にか大粒の涙がこぼれていた。




「あら…… 簡単にするのね


だけど、その泣き顔もつまらないわ


もっと泣きわめくかと思ったのに。」


興醒めしたように瑠璃様が言うと

「ほ…んとですわ

やはりドレスもお切りになってもらいましょう…か?」

麗華さまとは違いだんだんと周りのお嬢様たちは

引きつり出してか声色が弱くなってきている。





「それは無理っ!」

声を上げて阻止しようとすると


「じゃぁ 弟さんの未来はあなたが消し去るのね」と冷酷に言われる


「お願い、髪を切ったでしょ?

許してくれるんじゃないの?」


「確約なんかしてないわ」


「ひ…酷い・・・」


「押さえないさい」

瑠璃様の一言でとまどいながらもお嬢様たちがわたしを抑え込んだ



何かがプツリと切れたように抜ける。

思った以上にダメージを食らい力が出ない

泣きわめくことも、暴れることも出来ない


今は息をするもの辛いんじゃないだろうか…?



「大人しくしときなさい


暴れると怪我をするわ 



わたくしたちが!」



「そうですわ


それこそ賠償金どころではなくなりますわよ」


お嬢様たちの顔が青くなる中

瑠璃様があたしのドレスに手をかけハサミをあてる



彼女の歪んだ笑い声が…

キンキンするように耳の奥深くに

こだまする様に…聞こえる



自分自身…何をして…

一体ここで…何が起こって

いるかすら…よく分からない




ただここでジッとしていれば晴人をーーー

晴人を守れるんだ。

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