シュールな関係
「それにあたしを小悪魔と言うなら一之瀬さんは大魔王で
大和は切り裂きジャックで、一磨は女をたぶらかすドラキュラ伯爵ってとこね」
「なんで俺が切り裂きジャックだ?
一人だけ連続殺人鬼っておかしくね?」
なぜ俺だけ犯罪者かと、ブツクサ眉根を寄せているのを
笑いながら見つめる。
大和とは本当に出会いからして普通じゃなかったよね
重ねた唇の感触に、触れ合った肌の暖かさを思いだす。
茶髪の髪、猫のように表情の変わるつり目の瞳
整ってカッコいい顔は笑うと一気にやんちゃになる
生意気で、自分勝手で、だけど本当は凄く優しくって・・・。
大和の仕草や顔…声をすべて少しでも忘れないないように身体に刻む。
「----大和 あのさぁ、
もう二度と合わないと思うから
お別れをちゃんと言ってもいいかな?」
話しのノリで明るく声をかけたつもりだけど
少し声が震えているかもしれない・・・。
「その『二度と逢わないと思うから最後に』ってどういう意味だよ?
「・・・・・・」
「なに黙ってるんだよ、俺とは終わりってことか?
奈緒は――――
――――雅兄が好きなのか?」
路肩に急停車するとわたしの肩を掴み
顎に手を添え目を逸らせないように押さえる。
今までに見たこともない怖い顔をした大和が
逸らせまいと食い入るように瞳に絡みつく
肩を掴む手に力が入り痛い。