シュールな関係
「本当は大和が好き
これからも一緒にいたい」と喉から滑り落ちそうになるのをこらえる。
このまま始まっても終わりは見えているから。
大和とは違う世界の人種で、進むべき道が違う。
彼には幾人かのフィアンセ候補がいつもいて
この先、山ノ手グループを一之瀬さんと支えていく立役者
わたしはこの先一緒にいれば絶対に邪魔になる。
二人が一緒に歩む道はないのだから
これ以上傷づく前に諦めるべき…よね?
大和の為にも…
そう思い込ませようとしても
鋭い鋭利なものに刺されているかのように
何度も激しい痛みが胸に走り
もしも一緒に入れたら…と甘い考えが揺らいでしまう。
一緒にいたい…でも一緒にいるのも辛い…
涙が出そうになるのをグッとこらえる。
「痛いわよ 離して。
今日でもうみんなに振り回されるのはオシマイにする
疲れちゃったの。
それにわたしね、それほど暇じゃないの
知ってるでしょ?
だから大和と
もう関わりたくないし、もう会わない
ううん、もう逢いたくないの」
急に態度を硬化させると、わざと冷たい台詞を並べる。
「それに今日は人生最悪の日のワースト1に入るわ
今日は会長に借金の返済の
相談をするために行ったのに会えずじまいだし。
迷惑なことに恋愛トラブルに巻き込まれ
あなた達のフィアンセやらに散々やられたわ
初めて着たドレスはワインまみれになって
唯一自慢の髪すら切ってしまったし…
セレブのお嬢らに貧乏やら低層者とか散々罵られ
そのうえ弟のことで、
晴人の事で…脅されて心をえぐられてズタボロなの!
ネチネチと散々屈辱を味わされたわ!
前回は暇なセレブの御坊ちゃまの遊びで
今度はお嬢様方のゲーム再開って感じだわ
一之瀬さんをまた裏切って見せる顔もないし。
何もかも最悪だわ」