シュールな関係

真実

車から降りてアパートに向かうと

背後に人の気配を感じて、振り返る。



「奈緒さま　

お戻りなされるのをお待ちしておりました」


秘書の山本さんが電柱からのライトに浮かび上がる



「い、いつからそこに・・・？」

予期もしなかった出現に思わずたじろんでしまう。


何も言わず逃げ帰ってしまい

失礼にもほどがある態度に怒りに来たんだろう。




「奈緒さまがホテルから飛び出されて暫く処理をしてから


参りましたので…

かれこれ２時間ぐらいでしょうか。」


寒空の下で待たせた罪悪感と自分が犯した罪悪感で上手く言葉が出てこない


だが山本さんは予想に反し怒っている様子はない。



「会場では奈緒さまを守れきれず申し訳ありませんでした


完全な私の力不足です


美しい髪までなくさせ、本当に申し訳ありません」


もう全部知っているようで、山本さんは自分の責任だと

深々と頭を下げ、わたしよりも傷つき心苦しい表情をしている。



「山本さん・・・頭を上げてください

それに誤らないで下さい

　
髪は自分で切ったのですから…

それに髪はまた伸びます　


色々とご迷惑をおかけしたのはわたしの方です　


せっかくのドレスまで台無しにしてしまい・・・



これ・・・装飾品です。

億もするの預かるの緊張してたので良かったです。」


上手く笑えてない顔でダイヤのネックレスなどを入れた袋を渡す。