シュールな関係
最終章 未来に向かって
3月末…「ピンポーン」
朝早くドアを開けるとお隣の202号室の三好さんがいる。
このアパートに20年も住む50代のおじさんだ。
「神崎さん おはようございます
三好ですけど朝早くすみませんね
急に引っ越しになりまして、ご挨拶に来ました」
「引っ越し?」
廊下から覗くと…
引っ越し業者がダンボールや家具を運び出している。
「三好さんの会社って転勤なかったですよね?
それもまた急に引っ越しで…」
「いやぁ~ すぐ…近場なんですがね
ぐふふっ
思いもよらぬいい物件が見つかってね、ぐふふふ」
三好さんはすこぶる嬉しそうに話す
「晴人ぉ~!
三好さんが引っ越しのご挨拶に来てるわ」
引っ越し?と素っ頓狂な声を上げて急いで晴人が来る。
「今までこちらも
ありがとうございました 寂しくなります」
お別れをすませて踵を返して部屋に戻る。
「三好さん、凄く急だったわね
ここはかなり家賃が安くって
『これ以上のとこはない 一生住む!』って言ってたのにね」
「俺もそう思うよ
ここほど家賃安いとこそうそうないと思うけどな」
ボロイけど、と付け加える。
お隣さんがいい人だっただけに寂しくなるわね――――
そう二人で話していたのに…