シュールな関係
高校の時、父が夜逃げした。


正直、嬉しかった。


あの苦痛から解放されて



わたし達は自由になったんだ。


だけど現実はそんなに甘くなく

自由と引き換えに

失うものも多かった。




「奈緒ちゃんも

来年卒業でしょう?

もう大人なんだから

二人で頑張っていきなさい」


「困ったことがあれば

いつでも言いなさい」


所詮、親戚は口だけで

もともと貸すつもりも

無かったのでしょ?


一斉に去って行った親戚



結局 微々たる金すら

貸してもくれなかったわね。



噂も残酷なもので

すぐに広がり

友達にも同情や哀れな目

蔑視され辛かった。





もうわたしは誰かに頼る気も

期待すらもしなかった。
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