シュールな関係
「おまえに似合わない服なら

一着も買わないよ」


穏やかな微笑みで見つめる澄んだ瞳



うぐっつ・・・

その微笑み反則!!



王子オーラ全開でいきなり

ドキッってするようなこと

言わないでよっ!!



だけど一之瀬さんは

わたしの不安などお構いなしに

慣れた口調でオーナーに

『これツケといて』と

何食わぬ顔で言っている。



うえぇぇぇぇ―――!!


ツ…ツケだって~~?


ツケ?ツケ?ツケ?


それって

顔パスってことよね!?



聞き捨てならない台詞だ!!





「一之瀬さま

いつもありがとうございます」




沢山の袋を抱えオーナの女性が

満面の笑顔での応対



レディースの

ブティックなのに手慣れた様子



やっぱり王子に夢中になったら

女の影があるんだわっ!!



恐ろしや、恐ろしや…




あまりにもスマートに振る舞う

一之瀬さんを見て

本当の彼女でもないのに

マジマジと考えてしまう。



この店の常連客のようね

ツケが利くくらいに

誰かと来てるんだ。



顔にほだされたらダメよ奈緒っ!

コイツは鬼なんだからね!



一瞬ドキッとした乙女の

気分を返して!!

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