シュールな関係
セ・・・セレブだぁっ!!
これこそ本物の―――――!!
背筋に緊張が走り、顔が引きつりそうになる。
「はじめまして 神崎奈緒です」
動揺を封じ込め、気品を充満させる母に深々と
頭をさげて挨拶をした。
ちょっと一之瀬さん・・・
どうして教えてくれなかったの?
あれだけ打ち合わせもしたのに
『逢ったらもう軽く流せるから』って言ってたよね?
お坊ちゃまなんて全くもって聞いてないんですけど!?
『恨んでやる』
アンダーラ~ カンダーダ~
心の中で呪いをかけながら
一緒に来た一之瀬さんに瞳の奥に恨みを込めて微笑んだ。
あっ 一之瀬さん 今、悪戯気に笑った?
それもわたしの反応を
楽しむかのように・・・
『やばいよ 奈緒~!
想像絶する危機よっ
絶対に軽くなんか流せないよっ』
わたしの脳内危機レーダーが激しく反応する。
うん・・・
なんだか… とっても恐ろしく
すごーく嫌な予感がする!
「今日は主人も
ご一緒させてもらいますわ」
えっ?
「ああそうなんだ
ニューヨークから帰って来るから一緒に会うってさ
今、家のヘリポートに向かっている途中だから
奈緒 よろしくな」
ニッコリとして微笑む一之瀬さん
えええっつ~~~!!!
今なんてぇ~!?
わたしが驚いたのは
父同席…それとも自家用ヘリポート?
セレブ家庭?
ここで起こっていること、目の前にいる一ノ瀬さん、すべてです。