シュールな関係
王子の約束と親の気持ち
値段に比例するのか、ソファーのすわり心地のよさに
息がでる。
そして真っ白なだけに溢さないように
汚さないように気を付けよう…
「どうぞ」
メイドが無表情で大理石のテーブルに洋菓子と
ケーキ、紅茶を並べたのを見て思う。
私の正面に座る一之瀬さんのお母様が
品定めをするようにわたしを上からゆっくりと見つめる。
もちろんながら眼の奥は冷酷な監察官って感じ。
足元にある白熊の剥製の毛皮までもがわたしを
偵察ているようだ。
まだお父様は帰宅まで少しかかるらしい。
でも渋滞のない空からならもう暫くすれば帰ってくる。
わたしは心と裏腹に涼しい顔を崩さずに乾いた喉に紅茶を含んだ。
高級かもしれないが、緊張で味が分からない。
「奥さまは
紅茶でよろしいですか?」
「ええ
ダージリンティーをお願い」
メイドが入れた紅茶を
物静かに飲む一之瀬さんの母
さすがセレブ 飲み方一つにも気品がある。
優しい瞳の奥にある鋭い目つき
優雅で高価な雰囲気は益々私の緊張感を高める。
一体どうしたらいいのよ…
はぁ~ これじゃ
紹介どころじゃないわ。
大きな重圧感に
押し潰れされそうになる。
和やらい雰囲気で歓迎されていないのはこの冷え切った空気で十分分かる。
わたしは今からこのエクゼクティブな両親に審査という振いにかけられるのね…
簡単にフェードアウトなんかしないから!