シュールな関係
「雅也さん
落ち着きなさい!!」
「ウるせーんだよ
落ち着いてないのは
自分の方だろ?
今まで散々押し付けてきて
何でも自分の都合よくいくと思うな」
王子オーラから獰猛なオーラに変わる一之瀬さん
エクゼクティブオーラが消え、狽える母上
あたしはどうしたらいいのだろう
両方を目視することも出来ず、不安が広まる
「雅也さん お願い
もうあの人が帰ってくるから
ちゃんと話し合いましょ?」
動揺しながらお母様の
甲高い声がホール内に響く
ペルシャ猫(母)VS豹(息子)のケンカ
何処の家庭でも恐ろしい世界だ。
もうこんな豪邸より
5万円のぼろアパートが天国だ
早く去りたい この場から。
晴人が恋しくて恋しくて
帰りたくて仕方がないよぉ~っ
親子修羅場にすっかりドン引き状態のわたし
「奥様 ご主人様が
お戻りになられましたが・・・」
お手伝いが二人の会話を
遮ると上質なグレーのスーツを着た
一之瀬さんのお父様がリビングに入って来た
「二人とも興奮するな
見苦しいじゃないか・・・
雅也も落ち着いて座りなさい
奈緒さん
始めまして…ではないね」
ちょっと待って――――
わたしこの人知ってる・・・
会話をするのは初めてだけど見間違えるはずがない
だって・・・
わたしが務めている会社の
CEO
最高経営責任者
じゃない!!!