《完》闇を抱えた天才少女
空港に着くと事務所の社長と雪菜さんが
待っていた。
「晴ちゃん、こっち!」
社長に呼ばれて空港のロビーで
話をしていた。
「晴ちゃんがアメリカに行くなんて…
今日、アメリカに行くけど
まだ、信じられないよ…」
社長がそう言った。
「社長、1つ聞いてもいいですか?」
「ん?何?」
「噂で社長は、
自分からはスカウトしない
って聞いたんですけど本当ですか?」
これは、ずっと聞きたかった。
胸の中にいつか聞こうと思いながら
しまい込んでいた。
「その噂は本当だよ。」
「じゃあ、なんで私を」
「晴ちゃんは、とてもさみしい
悲しい目をしていたんだ。
そういう人こそ演技の幅が広い
からっていうのもあるけど
純粋にどんな子か知りたかった。
だから、声をかけたんだ」
「そうだったんですか」
「でも、晴ちゃんのこと
知っていくうちに
どんどん晴ちゃんの魅力にはまって
いつの間にか月9に出てたんだ。」
「社長、言いましたよね、
晴ちゃんは3年後に
トップ女優になるって」
雪菜さんが言った。
「あぁ、でも嬉しいことに外れたよ。」
「え?それはどういう?」
「晴ちゃんは2年後に
トップ女優になった証と言われている
日本アカデミー賞の大賞を
とっていたんだ。
きっと、晴ちゃんはアメリカでも
世界でも通用する。
今までどんな荒波が来ても
飲み込まれずにここまで来たんだから
晴ちゃんはできるよ!
ずっと日本で待っているから」
「ありがとうございます。」
「私も晴ちゃんのマネージャーに
なれて嬉しかったし
晴ちゃんにはずっと忙しくさせて
申し訳なかったけど
私は晴ちゃんとできてよかった。
私は、2年前まだまだ新人で
はじめてマネージャーとして
担当したのが晴ちゃんだったの。
はじめてだったからちゃんと晴ちゃんの
こと見れてなかったかもしれないけど
それは、ごめんなさい、
アメリカに行っても頑張ってきて!」
「はい、ありがとうございます。」
3人とも泣きすぎて変な空気が
流れた。
「あ、晴ちゃん。
アメリカに行ったら空港で
ジェームズという人が
日本の旗を持ってまってるらしいから
ジェームズは、日本語が話せて
僕もあったことがあるけど
安心できる人がいるから
その人に全部任せて大丈夫だよ」
「分かりました。
そこまでしていただいて
ありがとうございます!」
「いいんだよ、
思いっきり頑張ってきてね」
「はい!
行ってきます!」
私は泣き顔を隠すようにサングラスを
かけて
後ろを振り向かない
ようにしながら空港の窓口まで
向かおうとしたけど
「晴!!」
そんな声が後ろから聞こえてきた。
後ろを振り返って
サングラスを外すと
「え?大翔くん?」
大翔くんが私の方へ走ってきた。
「大翔くん、どうしてここに?」
「波美に晴が今、アメリカ行ったって
言われて今なら間に合うかな
って思って来た。」
「ごめんなさい、
私も言えなくてすいません。
「本当だよ!なんで言わねぇんだよ」
「大翔くん、たくさんのカメラに
囲まれてたし言えなかったんです…」
「そんなこと気にしなくていいんだよ。
あと、敬語はやめろ。」
「あ、ありがとうご…」
「待ってるから。
ずっと日本で待ってるから。
日本に帰ったら伝えたいことがあるから
ちゃんと帰ってこいよ!」
「わかった。」
「あと、コレ」
そう言って紙を渡してきた。
「ここに俺のメアド書いてあるから
なんかあったらかけてこい」
「わかった、
なんかって何でもいいの?」
「お、お前!
そこはこの空気を感じろよ!」
大翔くんは照れながら言った。
「ご、ごめん!
わかった!毎日かけるね!!
じゃあ、行ってくる!」
「…」
なにも言ってくれないまま
私はエスカレーターに乗った。
すると後ろから
「お前、英語は話せるのかよ?」
と大きな声で聞いてきた!
「Of course.
I do not go to the United States
when not so.」
そう答えて私はアメリカに飛び立った。