《完》闇を抱えた天才少女
夢
まるであのときは今考えると
夢のようなものだった。
私は決めていた。
賞を取ったら日本に帰ると
だから、
「ジェームズ、私ね日本に帰りたい」
と初めてお願いをした。
するとジェームズは少し間があったあと
「あ〜晴、次の仕事が入っちゃっているんだ」
と申し訳なさそうに言った。
そして、
「でもその前にアカデミー賞を取った映画の宣伝を日本にしに行くらしいから
来月、日本で少しだけ時間はある。」
「そうなの!
少しってどのくらい?」
私は日本に帰ったらしたいことがいっぱいあった。
「うーん、丸一日くらいかな?」
とジェームズが言うと
「もう少し、日本に滞在できない?」
とお願いをした。
でも、私の願いは受け入れてもらえなくて
「それからすぐアメリカで撮影があるから」
と言われた。
まぁ、日本に行けないよりはマシ。
だから、それを受け入れることにした。