《完》闇を抱えた天才少女
「どうしたの?」
社長さんは、私に不思議そうな顔をして
聞いてきた。
「えっと、実は一人暮らししていたんですけど
家と事務所が遠くて
家を出てきたんですよね。」
「「えっ??」」
社長さんとその隣にいる女の人の声が
重なった。
「そっか、だからそんな
大きな荷物がたくさん…」
社長さんが言った。
「もう、帰る場所がなくて…
この辺に安いアパートとかって
ありますか?」
社長さんに聞くと
「実は、
うちの事務所の人しか入れないマンションが
あるんだよ。
家賃は無料だからそこだったらいいよ。」
「ありがとうございます!」
「ここは、小さな事務所だけど
その分、うちの事務所の人には
気持ちよく仕事をしてもらいたいから
普通の事務所にはないことが
たくさんあるんだ」
「そうなんですか。」