片腕のピアニスト





................

「莉緒くんの腕は、〜〜〜で、〜〜〜〜〜。」



なにを言っているのかはわからない。

おっさん、そんな難しい言葉選んでないで気軽に説明してくれよ。


俺、馬鹿だからわかんねぇよ。



連なる高速の言葉からは、「筋」という単語が辛うじて聞き取れた。

何度もその単語が繰り返される。



どうやら、筋がどうやらなっちまったらしい。

なんの気の迷いか、すっかり忘れたはずのものを思い出した。



あぁ、俺もう…〜〜〜〜〜***。





「〜〜…でね?親御さんの事なんだけど。」


何故か全身が震え上がった。

動かないはずの左指の先まで震えだしたかのようだ。



ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる。


寒いはずがないのに、いままで他人事のように受け流していた事実を、しっかりと受け止めることとなった。



「…用事が長引いてるらしいんだ。

だから会いにこれないと「違うだろ。」



違うだろ、違うだろ。

それは真実じゃないだろ。
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